董事長、董事、総経理、法定代表人・・・色々聞き慣れない中国の役職についてざっくりとまとめた

董事長、総経理、董事、法定代表人・・・色々聞き慣れない中国の役職についてざっくりとまとめた

中国の新会社法に具体的に示されています。

董事長(代表取締役)

董事長は取締役会の責任者で、董事会(取締役会)の会議を招集し、主持し、董事会が株主会に対して報告する代表者です。董事長の職責には、董事会の議題を定め、董事会の決定の実行状況を確認することなどが含まれます。

董事(取締役)

董事は会社の意思決定機関として、重要な決断に関与し、例えば会社規章(労働法第4条で整備が求められている労働者への権利義務を明示化した文書)の改正、董事長や監事の選任、会社の年度財務予算および決算の承認などがあります。董事は株主会によって選出され、会社および株主会に対して責任を負います。

総経理(社長)

総経理は会社の日常経営管理の最高責任者で、董事会の決定を実行し、会社の経営計画および投資計画を立案し、会社の財務や人事を管理します。総経理は董事会によって任命または解任することができます。

法定代表人(法人代表者)

法定代表人は会社外の法律行為を代表する者で、会社を代表して会社の事務を執行する董事又は総経理が担当できます(2024年7月施行 新会社法10条)。法定代表人の職責には、会社の名義で契約を締結したり、訴訟行為を行うなどが含まれます。法定代表人の行為は会社の法律上の結果を直接起因させることになります。

中国で企業情報を調べるのに便利な天眼查

中国にいても、大きな国ですから、経済活動の全貌なんて見えるわけもないですし、聞いたことないけど、実は業界のトッププレイヤーだったりすることもあります。中国にある日系企業ですら、どこに拠点があるのかとか、(現地トップである董事長や総経理はともかく)誰が董事なのか、などは企業の公式サイトや日本の新聞の人事情報では知ることはほとんどできません。

そんな時に役に立つのが企業情報を調査する専門サイトです。日本だと帝国データバンク企業情報の様なサービスです。私も日本で働いていた時に新規の取引先企業の情報を取ったことがあります。中国でも、似たようなサイトはあります。それが今日紹介する天眼查です。

天眼查—全国企业查询查公司工商征信

天眼查—全国企业查询查公司工商征信

Beijing Jindi Technology co.,Ltd無料posted withアプリーチ

アンドロイドアプリは公式サイトや中国のアプリストアからダウンロードできます。

良いサービスなのですが、中国以外からのアクセスは制限されています。アプリも中国国内の携帯番号で登録が必要で、香港も含めて、海外からのアクセスは制限されています。これは政府の重要データに関する越境データ規制が影響していると思います。

天眼查でできること

中国にあるあらゆる企業(約3億社対象)の統合データベースと考えてください。国有企業はもちろん、民間企業、日本や欧米を含む外資企業もカバーされています。

データは市場監督局提供の国家企業信用情報公式公開システム、中国裁判書ネットなど公的機関のデータソース 、インターネットのクローリング、第三者のデータベースを統合して提供されています。

例えば、中国のスターバックスで検索してみるとこんな感じです。

中国で企業情報を調べるのに便利な天眼查

企業概要(公式サイト、住所、代表メールアドレス、代表番号)、株主、経営幹部、知的財産、税務の信用ランクなどの情報がわかります。また、最新の報道や求人情報もわかります。

有料機能(VIP機能)を使うと例えば、現在の係争中の訴訟、競合会社情報など新規取引先、提携先の初期情報収集としては便利な情報が天眼查の一つのプラットフォームの中で一覧してみることができます。

有料機能は今後も機能が増えて金額も変わると思いますので、詳細は控えますが、通常のVIPであれば、月30元(600円)程度で、個人負担ができる金額感です。

天眼查の類似サービス

天眼查以外にも類似サービスが複数あります。天眼查は市場シェアが80%近くあり、業界のリーダー的役割を果たしていますが、その他にも企查查启信宝などの似たようなサービスが存在しています。

企查查: 企業の人気ランキングや経営者の人気ランキングで差別化を図る

启信宝: 金融機関、弁護士などのプロフェッショナル向けのBtoBサービスにおいて一定の強み

など、それなりの差別化もされています。ご自身の仕事内容に応じて、他のアプリを検討してもいいですね。

とはいえ、天眼查は①無料ではじめられること、②アプリも使いやすく快適など、中国で仕事をする上では便利なアプリなので、興味ある人は使ってみてください。

【番外編】雄安新区に行ってみた、その価値とは

少し前の話ですが、北京からほど近いところにある習近平政権肝いりの「雄安新区」に行く機会がありました。下見も合わせると2回行きました。雄安新区は情報が限られているので、行き方や見どころなど、以下まとめておきます。NEXT深センを目指す「雄安新区」を訪問してみたい方の参考になればと思います。

そもそも雄安新区とは

無人バスが走る雄安新区

2017年4月1日に国家プロジェクトとして位置付けられた19番目の国家級新区になります。深セン経済特区上海浦東特区などの成功例に引き続き、世界レベルの都市クラスターを作っていくことが目標と言われます。

北京中心部から110キロほど南にあるアクセスの良さから、北京の非首都機能の移転先として、テクノロジー企業や研究機関が集積する見込みになっています。当初の開発区域は100キロ平方メートルですが、将来的には深セン並みの2,000キロ平方メートル/人口1,000万人規模の巨大都市になることを目指しています。北京は人が溢れており、住宅、医療など都市問題が起きているので、その解決策として雄安新区の活用が期待されています。

雄安新区へのアクセス

荒涼とした道を2時間南下で、雄安新区へ
荒涼とした道を2時間南下で、雄安新区へ

雄安新区は北京の非首都機能の移転先として期待されていることからわかるように北京からのアクセスがとても良いです。北京から約110kmで着くことができます。

アクセスは電車になります。

電車の場合、北京南駅から最寄り駅の白洋淀駅までは約1時間半で着きます。ただ、本数が少なく直通は1日2本。ただし、料金は片道600円程度で安いのは魅力的です。

結局、私は2回とも車で向かいました。1度目はDiDi、2回目は貸し切りバスを使いました。少人数であれば、DiDiでピンポイントで目的地まで向かってもらえるのでベストですね。高速道路に乗って、約2時間で到着します。料金は私が乗ったときには片道9,600円(600元)。電車に比べると10倍以上してしまいますが、4名は乗ることはできますし、駅に着いてからタクシーに乗る手間が省けますので、とても楽でした。

DiDiが普及していなかった5年前に中国に私いましたが、今となってはどうやって生活していたのか思い出せない。。。DiDiのおかげで本当に生活変わりました。便利すぎる。

雄安新区には専用の電動バスで入る

46人の電動バス。これで雄安新区の中に入ります
46人の電動バス。これで雄安新区の中に入ります

現在の雄安新区の中には電気自動車しか入れません。指定の駐車場があり、そこで止められることになるのですが、そこから専用の電動バスを使って中に入ります。無料です。

初めて行った際はその専用バスの乗り場がどこにあるのか、良くわからなかったのです。なので迷ってしまいました。ドライバーも雄安新区に行く機会は少ないでしょうし、さらに雄安新区もあちこちで工事中で、通行禁止スマホの地図通りにことが運ばないのです。仕事で視察とかの場合、焦ること必至ですので、気をつけましょう。おすすめしたいのはDiDiで行き先を決める時にここを指すことです。

「我来雄安了」というそのままの名前を目指して、行くとバス停にたどり着きます
「我来雄安了」というそのままの名前を目指して、行くとバス停にたどり着きます

ここに乗り付けてもらえれば、専用バスの乗り場まですぐです。ちなみに大型バスを駐車させるときは事前に登録が必要なので、バスの手配をお願いした旅行会社に手続きしてもらうと良いでしょう。

雄安新区のなにが見どころなのか

雄安新区にある京東が運営する無人スーパー
雄安新区にある京東が運営する無人スーパー

現在の雄安新区は今後の都市計画を知るためのショーケース的な意味合いが強いです。雄安新区の世界観を知るために視察するというのが現状ではないでしょうか。

その中で、面白かったものを以下ご紹介します。

雄安新区のプロモーション動画

雄安新区には映画館がある
雄安新区には映画館がある

雄安新区都市計画の宣伝プロモーションビデオを雄安新区内の映画館で見ることができます。料金は1人8元です。これまで河北省政府などが作った3本のプロモーションビデオをぶっ続けで観るというものです。上映時間は全部で約30分です。なぜかそのうち1本はYouTubeで(しかも英語字幕付きで)見られるので、正直映画館で見なくてもYouTubeで見て、予習した方が英語で分かりやすいのではないかと思います。基本がらがらなのですが、地方から団体見学が来ると、一時的に映画館が混むのでご注意を。スケジュールは以下の通り(2019年11月現在)なのでついたら、先にチケット買ってしまうと良いでしょう。

9:30〜10:00
10:10〜10:40
10:50〜11:20
11:30〜12:00
12:10〜12:40
12:50〜13:20
13:30〜14:00
14:10〜14:40
14:50〜15:20
15:30〜16:00
16:10〜16:40
16:50〜17:20
17:30〜18:00

無人バス

百度が作った無人バスに乗車することができます。北京の海淀公園で乗ることもできるのですが、ここ雄安新区でも乗ることができます。乗るためには事前予約が必要で、ここから予約することができます。7人乗りの無人バスなので、3日前に予約できたはずなので、訪問日が決まっていれば、予約する方がいいでしょう。ただし、そこまで混んでない印象です。

無人スーパー

銀聯カード系の無人スーパー
銀聯カード系の無人スーパー

無人スーパーは2つあります。京東(JD.com)系のスーパーと銀聯カード系のスーパーがあります。京東の無人スーパーの方が顔認証で入店→買い物→決済できるので、洗練されている感じがあります。一方銀聯カードのお店は買い物してる様子が窓ガラスで外から見やすいので、視察する場合は盛り上がります。

雄安新区の現状は、あくまでこういう世界を作りたいという政府の箱物が印象的です。現在オフィスエリアに進出している企業は中国の大手企業(日本は日立が進出)で、今後のビジネスチャンスを踏まえてのお付き合いといった感じが拭えません。ただ、ここ10年で激変した深センの様に、大きな変化を遂げていく可能性もあります。10年後に「10年前に来たときには何もなかったんだよな〜」と言いたい方にはおすすめです。実際、北京と雄安新区の間に北京大興国際空港が完成。今後は雄安新区と同空港を結ぶ高速鉄道の計画も進んでいます。

雄安新区訪問自体は1日あれば十分ですので、北京での視察や観光に飽きてしまった場合、見に行くのはありかもしれません。レア感があるので、結構おもしろかったです。

ご質問や私も行きたい!などあれば、お問い合わせください。